文献探訪No.003
円形脱毛とライフスタイル
『文献探訪003』へようこそ!
円形脱毛で悩んでいる方も、とくに最近、増えてきている印象があります。ライフスタイルとの関係を考察した北九州の産業医科大学から発表された論文(英語)をご紹介します。 |
はじめに
円形脱毛症は、突然円形の脱毛斑が現れる自己免疫性の皮膚疾患です。その発症には遺伝的要因や環境要因が関与しており、特に日常のライフスタイルが影響を及ぼすことが指摘されています。 |
ライフスタイル要因との関係
精神的ストレス
精神的ストレスは、円形脱毛症の発症や悪化に深く関与しています。ストレスが免疫系に影響を及ぼし、自己免疫反応を引き起こす可能性があるためです。 |
喫煙
喫煙は血行不良を招き、頭皮の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。また、タバコに含まれる有害物質が免疫系に影響を与え、円形脱毛症のリスクを高めると考えられています。 |
飲酒
過度の飲酒は肝機能の低下を招き、体内の解毒作用が弱まることで、皮膚の健康状態に影響を及ぼす可能性があります。適度な飲酒を心がけることが重要です。 |
睡眠
質の高い睡眠は、免疫機能の正常化やストレスの軽減に寄与します。睡眠不足は免疫バランスを崩し、円形脱毛症のリスクを高める可能性があります。 |
肥満
肥満は慢性的な炎症状態を引き起こし、免疫系に影響を与えることがあります。適正体重の維持は、円形脱毛症の予防や改善に寄与する可能性があります。 |
食事(脂肪酸、グルテンなど)
食事内容も円形脱毛症に影響を及ぼす可能性があります。 |
例えば、オメガ3脂肪酸は抗炎症作用があり、逆にオメガ6脂肪酸の過剰摂取は炎症を促進する可能性があります。 |
また、グルテンに対する過敏性がある場合、食事からの除去が症状の改善に寄与することがあります。 |
ライフスタイル改善による予防と対策
ストレス管理
ヨガや瞑想、趣味の時間を持つなど、ストレスを適切に管理する方法を取り入れることが重要です。 |
禁煙・節酒
喫煙は控え、飲酒も適度な範囲にとどめることで、全身の健康維持に繋がります。 |
適切な睡眠習慣
毎日規則正しい睡眠を確保し、質の高い睡眠を心がけることが大切です。 |
バランスの取れた食事
抗炎症作用のある食品(魚、ナッツ、野菜など)を積極的に摂取し、加工食品や高脂肪食の摂取を控えることが推奨されます。 |
適度な運動
定期的な運動は、血行促進やストレス軽減に効果的です。 |
まとめ
日常のライフスタイルは、円形脱毛症の発症や進行に大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
生活習慣を見直し、健康的な生活を心がけることで、円形脱毛症の予防や改善に繋がることが期待されます。 |
海外研究
タイトル
文献
Int J Mol Sci. 2022 Jan 18;23(3):1038. |
抄録訳
円形脱毛症は代表的な炎症性皮膚疾患であり、様々な環境刺激と関連している。 精神的ストレスが円形脱毛症の主な病因であると考えられているが、乳幼児や新生児もこの病気に罹患することから、他の環境因子が存在する可能性が示唆される。 |
日常的な生活習慣は様々な炎症性疾患に関与し、炎症性皮膚疾患の重症度に影響することはよく知られている。しかし、円形脱毛症に対するこれらの影響をまとめた研究は限られている。 |
本総説では、円形脱毛症の病態に及ぼす生活習慣要因関連の影響をまとめ、喫煙、飲酒、睡眠、肥満、脂肪酸、グルテンの摂取などの環境要因に焦点を当てた。 |