亜鉛探訪No.018
インスリンと亜鉛
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亜鉛は体内で多くの重要な役割を担うミネラルですが、特にインスリンの合成と分泌において欠かせない成分であることが知られています。インスリンは膵臓から分泌され、血糖値の調整を助けるホルモンです。ここでは、亜鉛とインスリンの関係について解説します。 |
亜鉛とインスリンの相互作用
インスリンは、亜鉛と結びついて膵臓内で6量体という形で安定して貯蔵されます。この結晶化により、インスリンは長期間安定し、必要な時に素早く分泌されます。インスリンが血糖値を下げる働きを持つことは広く知られていますが、この機能には亜鉛が欠かせません。 |
亜鉛の不足が引き起こす影響
亜鉛が不足すると、インスリンの結晶化が不完全となり、十分な量のインスリンが分泌されないことがあります。これにより、血糖値がコントロールしにくくなり、糖尿病のリスクが増加することが考えられます。亜鉛を適切に摂取することが、血糖値を健康的に保つために重要です。 |
亜鉛と糖尿病
糖尿病患者において、亜鉛が不足していることが多く、これがインスリンの働きに影響を及ぼしているとされています。亜鉛を補充することで、インスリンの分泌が改善され、血糖値の調整が助けられることが示唆されています。 |
まとめ
インスリンの正常な分泌と働きには、亜鉛が不可欠であることがわかります。亜鉛が不足すると、インスリンの合成や分泌に支障をきたし、糖尿病などの疾患に繋がる可能性が高まります。日常的に亜鉛を十分に摂取することが、血糖調整に役立つことを忘れないようにしましょう。 |
参考文献
タイトル
多結晶立方体ヒトインスリンのT2構造
文献
Acta Crystallogr D Struct Biol.1;79(Pt 5):374-386.2023 |
原文訳
フェノール誘導体との共結晶化で確立された結晶化プロトコルを用いて、pH変化に伴うヒトインスリンの多形性を粉末X線回折で特徴付けた。 |
pHの上昇に伴い、2種類の菱面体多形(R3)と1種類の立方多形(I213)が同定され、それぞれインスリンのT6、T3R3f、T2コンフォメーションに対応した。 立方晶T2多形の構造は、2.7Å分解能のマルチプロファイル立体化学的拘束リートベルト精密化によって決定された。 |
これは、亜鉛イオンの存在下で成長させた結晶から決定された最初の立方晶インスリン構造となったが、亜鉛の結合は観察されなかった。 |
この多結晶体の他の立方晶インスリン構造との違いや、pH駆動の相転移の性質について詳しく議論する。 |