亜鉛探訪 No.010
牡蠣と亜鉛
『亜鉛探訪010』へようこそ!
亜鉛を多く含む食品として最もよく知られているのが牡蠣(オイスター)です。しかし、「なぜ牡蠣にはこれほど多くの亜鉛が含まれているのか?」については、あまり知られていません。
実は牡蠣は、体内に亜鉛を取り込み蓄積する独自の仕組みを持っており、そのメカニズムが高い亜鉛含有量につながっています。近年では、この仕組みに関わるタンパク質や遺伝子についても研究が進められています。
一方で、牡蠣に亜鉛が豊富とはいえ、標準的な25gの牡蠣1個に含まれる亜鉛は約3.5mgです(カロリーSlism参照)。そのため、1日に10mgの亜鉛を摂取するには約3個、30mgでは約9個の牡蠣が必要になります。
今回の記事では、牡蠣が亜鉛を豊富に含む理由や、その仕組みについて研究報告をもとに分かりやすく解説します。
5. 牡蠣由来亜鉛が高吸収である理由
題目
亜鉛キレートを介したプラスチン反応により修飾されたカキ由来の亜鉛結合ペプチドが亜鉛の腸管吸収を促進する
文献
Mar Drugs. 2019 Jun 8;17(6):341.
亜鉛キレートを介したプラスチン反応により修飾されたカキ由来の亜鉛結合ペプチドが亜鉛の腸管吸収を促進する
文献
Mar Drugs. 2019 Jun 8;17(6):341.
📖 参考文献
題目
牡蠣肉エキスの鎮痒作用
(The anti-pruritic effects of oyster extract)
文献
東京医科大学雑誌 65巻4号
Page393-400(2007年10月・英語)
牡蠣肉エキスの鎮痒作用
(The anti-pruritic effects of oyster extract)
文献
東京医科大学雑誌 65巻4号
Page393-400(2007年10月・英語)
抄録
背景
慢性腎不全で血液透析を受けている患者では、皮膚そう痒症(尿毒症性そう痒)の発症に血中・表皮中の亜鉛不足が関与すると考えられています。そこで本研究では、亜鉛を豊富に含む牡蠣肉エキス(OE)が、アトピー性皮膚炎モデルでかゆみを抑えるかを検討しました。
方法
- 実験①:モルモット発痒モデルで、ヒスタミン・カリクレインによるかゆみに対する効果を評価。
- 実験②:IgE依存性アトピー性皮膚炎マウスモデルで、そう痒行動と皮膚炎症への影響を評価。
- 牡蠣肉エキス(OE)と有機亜鉛(OZ)の効果を比較した。
結果
- 牡蠣肉エキス(OE)はヒスタミン・カリクレインによるかゆみを抑制した。
- 有機亜鉛(OZ)はカリクレイン誘発のかゆみに有意な抑制効果を示した。
- OEとOZはいずれもアトピー性皮膚炎モデルで、かゆみ行動と皮膚炎症を有意に抑制した。
- 慢性腎不全患者の皮膚そう痒症にも有効である可能性が示唆された。
結論
牡蠣肉エキスとその有機亜鉛成分は、アトピー性皮膚炎モデルにおいて皮膚の炎症とかゆみの両方を抑制しました。亜鉛を豊富に含む牡蠣肉エキスは、アトピー性皮膚炎だけでなく、血液透析患者の皮膚そう痒症に対しても有用となる可能性が示されました。