アレルゲン特異的免疫療法の開発には、IgE反応性が低いアレルゲンの設計が望まれています。カキに含まれる主要なアレルゲンであるトロポミオシン(Cra g 1)については、これまで免疫療法が行われていませんでした。本研究では、Cra g 1の低アレルゲン化誘導体を作製し、そのアレルゲン性を評価しました。
具体的には、エピトープの欠失や部位特異的変異を導入することで、4種類の低アレルゲン誘導体を構築し、これらが患者およびCra g 1に感作されたラットのIgEに対して反応性が低いことを確認しました。さらに、ヒスタミン、IL-4、IL-6、TNF-αなどのアレルギー性メディエーターの脱顆粒や分泌が有意に減少することが分かりました。
トロポミオシン(Cra g 1)が21人中18人の主要なアレルゲンとして同定され、これはカキ初のWHO/IUIS登録アレルゲンとなりました。また、カキ、クルマエビ、ダニ由来のトロポミオシンに対するIgE結合能を比較した結果、患者間で異なる交差反応性が見られました。さらに、3種のトロポミオシンのアミノ酸配列比較から、IgE結合エピトープを含む5つの領域が交差反応性の原因である可能性が示唆されました。
まとめ
本研究は、主要アレルゲンCra g 1の特徴を解明し、組換えトロポミオシンがアレルギー診断や免疫療法の改良に寄与する可能性を示しています。