傷跡(傷痕・きずあと)

傷跡イラスト
傷跡(傷痕・きずあと)の瘢痕や深いニキビ痕は1. レーザーのフラクショナル照射 、2. 切除手術で治療しています。残念ながら、完全に消すことはできませんが、傷跡の色が薄く、細くなれば、見えにくくなります。

傷跡の治療経験

オトガイ部傷跡の治療症例1

概要

傷跡症例
交通事故受傷して3年後に当院初診で来院された。オトガイ部と上口唇に段差を有する肥厚性瘢痕を認めたため、上口唇は単純切除、オトガイ部は段差を解消するためにW形成術を行った。

手術名

瘢痕に対する切除縫合術+W形成術

経過

術後1週間後に抜糸

治療費用

総額

78,100円

内訳

手術料73,700円+予約料4,400円

その他

現在、諸経費5,500円もかかります。

諸経費には麻酔、消毒薬、糸、軟膏に係る費用が含まれます。

合併症・リスク

術後出血や感染の可能性。
肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮再発の可能性。
定期的な通院の必要性。

傷跡の治療費用

1.直線切開縫合法

手術料

1cm当たり 13,200円
諸費用

5,500円

麻酔、消毒、縫合糸、軟膏

予約料

20分2,200円

30分3,300円

3cmの傷跡 

総額47,300円

内訳

13,200x3+5,500+2,200円

6cmの傷跡 

総額88,000円

内訳

13,200x6+5,500+3,300円 

2.ジグザグ切開縫合法

手術料

1cm当たり 22,000円
諸費用

5,500円

麻酔、消毒、縫合糸、軟膏

予約料

30分3,300円

40分4,400円

3cmの傷跡 

総額74,800円

内訳

22,000x3+5,500+3,300円

6cmの傷跡 

総額141,900円

内訳

2,000x6+5,500+4,400円

3.フラクショナル照射

CO2RE、もしくは、エンライトンSRを使用します。

施術料(bFGF散布付)

1x1cm(1平方センチ) 

5,500円

2x2cm(4平方センチ) 

17,600円

3x3cm(9平方センチ) 

29,700円

4x4cm(16平方センチ) 

35,200円

5x5cm(25平方センチ) 

41,250円

麻酔料2,200円

両頬ニキビ痕

5x5cmの範囲を照射する場合 

およそ1cm角を25か所左右で照射します。

43,450円

線状瘢痕

幅3.3mmで計算します。

線状瘢痕12cm 

19,800円

傷跡の治療方法

傷痕の治療方法には2通りあります。

切除縫合手術

単発の傷跡

傷跡の瘢痕を直線状に切り取って縫い合わせる切除縫合を行うことが一般的です。

複雑な傷跡

拘縮予防と光の反射を変化させるために、傷跡の周りも含めて、ジグザグに切り取り、縫合する方法を適応する場合があります。

レーザー照射療法

細い傷跡

傷跡がたくさんある場合は、炭酸ガスレーザーのフラクショナル照射をお勧めします。

細かく点状に表皮から真皮を焼灼し、周りから皮膚を再生させる治療法です。

月に1回ずつ照射しますが、数ヶ月以上と時間がかかります。

幅広い傷跡

レーザーでは、治りません。

切除縫合によって、幅を狭くしてから、レーザー照射を行い、段階的に組み合わせる場合があります。

切除縫合

《寺田院長が行っている切除縫合のこだわり》
形成外科専門医37年の経験から、勤務医のときに感じていた疑問を解決して、実践しています。最近、吸収糸に反応して赤くなる場合が多い印象があるため、真皮縫合より皮下縫合や皮膚縫合をナイロン糸で行う場合が増えています。

紡錘切除+縫合

短い傷跡や深いニキビ痕は、直線的切除がよいと思います。
ただし、ニキビ痕がひどい方は、皮膚が瘢痕組織で硬くなっているため、縫いにくく、きれいに治りにくい傾向があります。縫合痕が凹む場合があります。

ジグザグ切除+縫合

長い直線状の傷痕はジグザグに切除し、術後のひきつれを予防し、傷痕に当たる光の反射がランダムになるように工夫しています。
3-5㎜の短い瘢痕が点状にあると、目立ちにくくなります。ジグザグの頂点は皮膚を三点縫合しますので、1週間後抜糸します。

丸針で真皮縫合

真皮縫合は丸針の吸収糸を使っています。一般的には真皮は硬いので角針を使いますが、角針を真皮に通す時に真皮のコラーゲン線維が切れて、強度が弱くなり、長期的に見ると、縫合した傷痕の幅が微妙に広がりやすくなります。丸針にすると、真皮のコラーゲン繊維を押し広げるだけで、切れないので、針は通しづらくなりますが、傷痕が広がりにくくなります。

リスク・副反応&対応・対策

安静が必要

とくに急に力を入れる動作には注意してください。日常生活は大丈夫です。

理由:動き回っていると、縫合部に負荷がかかり、パカっと傷口が開いてしまうことが稀に経験されます。

対策:ジムやゴルフなど運動されている場合は、1週間程度安静が必要です。

傷口が赤くなる場合

平らな状態から、徐々に盛り上がってくると、肥厚性瘢痕と呼びます。

理由:皮膚に緊張がかかりやすい肩や胸部、大腿部で経験されます。対策:術後アフタケアとして、テーピングを行います。とくに動き回る昼間の時間帯にテープを貼ることが大切です。夜は入浴前にテープは剥がしてください。朝また張り直してください。

予後の予想:再縫合の傷跡がほぼ見えなくなるレベルまで良くなるかどうかは、体質、皮膚の状態や部位、縫合テクニックによります。

アフターケア

理由:傷痕の赤みや硬さが続きやすいので。

経過:赤みが薄くなり始めるのには術後3ヶ月以上かかります。術後半年から1年で落ち着いてきますので、UVケアと皮膚の緊張予防でテーピングを続けながら、良くなるのを辛抱強くお待ち下さい。個人差が大きいです。テーピングを行うなどアフタケアが必須です。

レーザーのフラクショナル照射

原理

真皮層の細胞外基質誘導と、周囲からの表皮再生促進

照射手順

1.痛みを軽減するため、麻酔クリームを塗布、ラップして、30分待合室で待機
2.フラクショナル照射
フィブラスト
3.塩基性線維芽細胞成長因子を塗布
4.ラップして、5分間冷却
5.ホームケア:上皮再生促進軟膏塗布(夜1回)
6.経過 アブレイティブなレーザーなので、3日から1週間程度赤くなり、1週間前後で点状のかさぶたができます。ダウンタイムがあるので、最初は通常より弱く照射します。

利点

広範囲の傷跡や陥凹性瘢痕に照射できる。
表面麻酔(テープやクリーム)30分⇒施術5-10分程度
施術後の運動制限はない

リスク・副反応&対策・対応

効果を実感するまでに数ヶ月と時間がかかります。
強く照射すると、赤みが長く続きやすくなり、茶色の炎症後色素沈着を生じやすくなります。
一旦、茶色になると、2,3か月の治療休止期間を設ける必要がありますので、早く治したいからと、強く照射するわけにはいきません。

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