老人性色素斑(日光黒子)とは?
年齢とともに目立ってくる、境界がはっきりした茶色~黒っぽい平らなシミです。
長い年月のあいだの紫外線の影響などで、肌のメラニン(色素)が増えて生じます。
どんなシミ?
円形や楕円形で、数mm~数cm。色は薄茶~濃い茶色までさまざま。盛り上がらず、平らなのが特徴です。
できやすい場所
- 顔(ほほ・こめかみ・こめかみ周辺)
- 手の甲
- 前腕などの日光に当たりやすい部位
なぜできる?
長年の紫外線ダメージで、メラニンを作る細胞(メラノサイト)が活発になり、
色素が増えて肌表面にシミとして見えるようになります。
他のシミとの見分け方
- 肝斑:両ほほに左右対称で、ふんわり広がる淡い茶色。境界はぼんやり。
- 雀卵斑(そばかす):小さな点状のシミが多数。子どもの頃からあり、夏に濃くなりやすい。
- ADM:灰色~青みがかった色。真皮が関わるため、レーザーの選び方が変わります。
- 炎症後色素沈着:ニキビ・虫刺され・こすれなどのあとに残る茶色。時間とともに薄くなることも。
※ 見分けが難しい場合は、医師の診察や肌診断(Antera 3Dなど)で状態を詳しく確認します。
医療者向けの参考情報を表示
- Ortonne JP. Pigmentary changes of the ageing skin. Br J Dermatol. 1990;122(Suppl 35):21–28.PMID 2186781
- Gilchrest BA, Yaar M. Age-associated changes in the skin. J Invest Dermatol. 1992;99(6 Suppl):S135–S139. PMID 7035532
- 日本皮膚科学会 編『皮膚科診療ガイドライン(色素性疾患)』
症例写真集
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老人性色素斑の原因について
一般的に言われていること
長年の紫外線の影響で、肌の奥にあるメラノサイト(色素を作る細胞)が刺激され、
メラニンが過剰につくられます。その結果、表皮にメラニンが沈着し、シミとして見えるようになります。
院長の考え(私見)
最近の研究から、AGEs(最終糖化産物)という老化物質が血管を傷つけ、
その影響でシミが生じる可能性があると考えています。
つまり、紫外線は悪化させる要因ではあるものの、
根本には血管の老化や異常が背景にあると考えています。
このため、私は「日光性色素斑」というよりも、
「血管性色素斑」と呼ぶほうが実態に近いのではと感じています。
※この見解はまだ研究途上の考え方です。
老人性色素斑の治療
シミの濃さ・広がり・深さによって、光治療・レーザー・内服・外用・栄養面のサポートを組み合わせます。
診察時にAntera 3Dなどで状態を確認し、最適なプランをご提案します。
光治療(IPL)
顔全体など、広範囲に散らばるパターンの小さな日光黒子に向いていますが、
大きな日光黒子でも、浅い色素と異常な毛細血管を叩くために、最初に使います。
繰り返し照射すると赤みや毛穴、くすみの同時改善も期待できます(※個人差あり)。
レーザー治療
- Qスイッチルビーレーザー:メラニンを狙ってピンポイントに照射。(当院は不採用)
- ピコ秒レーザー(ピコスポット):より短いパルスで、周囲へのダメージを抑えつつ深いメラニン色素を浅層から細かく砕きます。
照射後は薄いかさぶたができたり、一時的に炎症性色素沈着(PIH)が起こることがあります。
亜鉛内服・遮光・保湿・外用(美白剤など)でケアを行い、経過を診て必要に応じて調整します。
スキンケア(外用・内服)
- 亜鉛・ビタミンC・トラネキサム酸・ハイドロキノン:メラニン生成を抑えるサポート。
- レチノイド:肌のターンオーバーを促し、くすみ感の改善。当院はエンビロン化粧品を使用しています。に。
使い方を誤ると赤み・乾燥などの刺激が出ることがあります。
医師の指示に沿って、濃度・頻度を段階的に調整します。
栄養療法(当院の特徴)
- AGEs(最終糖化産物)をためにくい食事:低GI・加工/高温調理を控える・抗酸化食品の活用。
- 不足しがちな栄養の補充:ビタミンC・亜鉛など、検査結果に基づき調整。
血管や肌代謝のコンディションを整えることで、治療効果の底上げや再発予防を目指します。
治療の目安とアフターケア
- 回数の目安:スポット照射は1回で薄くなることもありますが、複数回必要な場合もあります。
- ダウンタイム:数日~1週間ほど薄いかさぶた、その後一時的に濃く見える時期(PIH)が出ることがあります。
- 紫外線対策:日焼け止め・帽子・日傘などで遮光を徹底。再発予防にも重要です。
- スキンケア:刺激の強いピーリング・強擦は控え、保湿と外用を継続します。
診察〜ケアまでのステップ
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1
診察(カウンセリング)
気になる部位・経過・生活習慣(紫外線・スキンケア・栄養)を確認し、シミの種類を見極めます。
-
2
肌診断(Antera 3D)
色素(浅い/深い)や赤み(血管)を数値化・画像化。客観データに基づいて治療計画を立てます。
-
3
治療方針の決定
お肌の状態に合わせて、光治療(IPL)・レーザー・外用/内服・栄養サポートの最適な組み合わせをご提案します。
治療回数・経過の目安
① 光治療(IPL)
広範囲の浅い色素と赤み(軽度の血管異常)にアプローチ。
顔全体のトーンアップやくすみ感の改善も期待できます。
※ まず1回実施し、反応を見て必要に応じて追加します。
② ピコ秒レーザー(スポット)
残った深い色素を細かく砕き、痂疲(かさぶた)脱落や体内吸収を促進します。
※ シミの性状により複数回が必要になることがあります。
- スポット照射は1回で薄くなることもありますが、複数回必要な場合があります。
- 経過中に一時的な濃く見える時期(炎症後色素沈着:PIH)が出ることがあります。
- 遮光・保湿・外用(美白剤など)でケアしながら、次回の治療タイミングを調整します。
術後ケア(きれいに治すコツ)
- 栄養サポート:亜鉛・ビタミンCの内服で抗酸化を高め、回復を後押し。
- 紫外線対策:日焼け止め(SPF/PA)、帽子、サングラスで遮光を徹底。
- スキンケア:しっかり保湿。ハイドロキノン・トラネキサム酸・レチノイドは医師の指示で濃度・頻度を調整。
- 刺激回避:強いピーリングやこするケアは避け、優しく洗顔。
※ ダウンタイム:薄いかさぶたが数日〜1週間ほど。その後に一時的な色調変化(PIH)が出ても多くは徐々に落ち着きます。
治療期間・回数・費用
日光黒子は増悪因子となる異常血管をまず、光治療で叩きます。さらに、食事やサプリメントで抗酸化と抗糖化を図ります。個々の肌質・合併するシミ(PIH/肝斑/ADM など)により最適回数と間隔は変わりますが、下記が当院の目安です。
期間の目安
- 肌の準備期間内服+外用:初診直後から開始
- 初回光治療:初診から2〜4週後
- 2回目以降ピコ秒レーザー:脱落するまで3,4ヶ月おき2,3回照射
- 維持期マッサージピール/エレクトロポレーション:1ヶ月おき
回数・間隔の目安
- 内服(亜鉛/ビタミンC):毎日2~3回内服(ムカムカしないことを確認)
- 光治療:初診から2〜4週後(初回のみ)
- ピコ秒レーザースポット照射:光治療後1ヶ月(1~3回)
- 外用(TAホワイト/ハイドロキノン):毎日2回HQは低濃度をレーザー後から1日1回
- マッサージピール:4週間隔
- エレクトロポレーション:4週間隔
- トラネキサム酸皮内注射:2週間間隔・PIH限定
費用の目安
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内服セット亜鉛(90錠)+αリポVC(120錠)¥5,184円
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TAホワイトトラネキサム酸クリーム(1日2回塗布)¥2,750円
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ナノHQ 1.9%(レーザー後に)低刺激・導入向け¥3,300
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ナノHQ 4%(レーザー後に)短期集中で色調調整¥2,200
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光治療スポット~20発¥2,200~¥11,000
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ピコ秒レーザースポット照射(3mm大10個~20個)¥18,700~¥35,200(麻酔料込)
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マッサージピール全顔1回あたり¥11,000円(初回)~14,300円
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エレポ導入TXA+APPSなど全顔1回あたり¥11,000円(初回)~14,300円
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PIHに対してTXA皮内注射限定部位・少量分割¥4,400~¥7,700(麻酔料込)
よくある質問
治療は痛いですか?
輪ゴムではじかれたような軽い刺激を感じることがあります。必要に応じて冷却や麻酔クリームで痛みを調整します。
何回くらいでよくなりますか?
スポット照射で1回で薄くなることもありますが、複数回必要な場合があります。広範囲の薄いシミはまず光治療(IPL)で全体を整え、その後にピコ秒レーザーで残る深い色素にアプローチすることが多いです(間隔の目安:4〜8週間)。
ダウンタイムはありますか?
薄いかさぶたが数日〜1週間ほど出ることがあります。また一時的に濃く見える時期(PIH)が出ることも。遮光・保湿・外用ケアで多くは徐々に落ち着きます。
メイクや洗顔、入浴はいつから可能ですか?
洗顔は当日からぬるま水でやさしく可能です。入浴は当日シャワー程度、長風呂は数日控えめに。メイクは保護部位を除き翌日からが目安です(照射範囲や方法により指示が変わります)。
再発を防ぐにはどうしたらいいですか?
紫外線対策(UVケア・帽子・サングラス)、こすらないスキンケア、保湿と外用(ハイドロキノン・トラネキサム酸・レチノイド)の継続が大切です。栄養面では亜鉛・ビタミンCの補助やAGEsをためにくい食事も役立ちます。
肝斑やそばかす、ADMと見分けられますか?
診察で臨床像を確認し、必要に応じてAntera 3Dで色素(浅い/深い)や赤み(血管)を解析します。種類により治療法が変わるため、最初にしっかり見極めます。
肌が弱くても受けられますか?
肌質に合わせて出力や方法を調整します。テスト照射や段階的治療も可能です。PIHリスクが高い肌質では、遮光・保湿・外用ケアをより丁寧に行います。
内服や持病で注意が必要なことはありますか?
光感受性を高める薬の内服、妊娠中・授乳中、感染症や創傷治癒に影響する病気、ケロイド体質などは事前にご相談ください。安全に配慮して方法を選びます。
費用の目安は?
範囲や治療法で異なります。詳しくは当院の料金ページをご覧いただくか、診察時にお見積りいたします。
他院で良くならなかったのですが相談できますか?
はい。鑑別の見直し、IPL→ピコの段階治療、外用・栄養の最適化など、肌状態に合わせてプランを組み直します。まずは現在の状態を拝見します。
😊 お礼
最後までお読みいただきありがとうございます。
寺田院長は、シミ治療を通して、皮膚だけでなくカラダ全体を整えることを目標に掲げています。
お肌だけでなく、カラダ全体の抗酸化力・抗糖化力を高めて、毎日を前向きに過ごしましょう。