異所性蒙古斑
(黒あざ)
【異所性蒙古斑とは?】
蒙古斑(もうこはん)は、通常はお尻や背中の下部に現れる青灰色の皮膚の色素斑ですが、異所性蒙古斑とは、これが体の他の部位、特に腕や脚、顔、腹部などに現れるものを指します。通常、出生時に見られるもので、アジア人、アフリカ系、ラテン系の子どもに多く見られます。
【起源】
蒙古斑は、メラニン色素を生成するメラノサイトが、皮膚の深い層(真皮層)に多く存在することが原因です。異所性蒙古斑も同様に、通常は胎児期にメラノサイトが皮膚の浅い層(表皮層)に移行する過程がうまく行われず、深層に残ったままになることで生じます。
【好発部位】
異所性蒙古斑は、体のどの部位にも現れる可能性がありますが、以下の部位に多く見られます。
- 上肢(上腕、前腕、手背)
- 背部・胸部・腹部
- 下肢(大腿、下腿、足背)
【治療法】
異所性蒙古斑は基本的に治療を必要としない良性の状態です。多くの場合、思春期を迎える頃には自然に薄くなる傾向があります。ただし、特に目立つ部位にある場合や、親御さんの希望により治療が検討されることがあります。
主な治療法
レーザー治療
深い真皮に届くQスイッチレーザーやピコ秒レーザーなどが一般的です。メラニン色素をターゲットにし、安全かつ効果的に色を薄くすることが期待できますが、浅い層のメラニン色素から脱落、吸収されてきますので、メラニン色素の深さや厚みが治療期間や照射回数に影響します。
治療回数
メラニン色素は真皮深層に分布しているため、複数回の照射が必要になる場合が多いです。異所性蒙古斑は1回~2回が目安です。
治療間隔
4ヶ月毎に照射します。
【治療時期】
レーザー治療の最適な開始時期は、子どもの皮膚の状態や成長段階により異なります。以下のポイントを考慮することが大切です。
- 早期治療:3〜5歳以降からレーザー治療を始めることが可能です。この年齢であれば、治療に対する皮膚の反応が良好であり、早期に薄くすることが期待できます。ただし、痛みを伴うため、局所麻酔が必要です。広範囲の場合は、全身麻酔が必要ですので、小児の麻酔に対応できる大学病院(八千代医療センターなど)をご紹介します。
- 経過観察:多くの場合、自然に薄くなるため、特に治療が急を要するわけではありません。経過を見ながら必要に応じて治療を検討します。
- 通常治療:10歳以上に成長してから、局所麻酔を行いレーザー治療を開始することも可能です。
【まとめ】
異所性蒙古斑は、自然に消えることが多いですが、気になる場合は医師に相談し、適切なタイミングでのレーザー治療を検討することが可能です。お子様の健康や外見に関する不安があれば、いつでもご相談ください。