ニキビ治療結果(保険診療)
治療結果には個人差があります。治療効果は早い方で1ヶ月で実感される場合もありますが、遅い方だと3ヶ月以上かかります。塗り薬や飲み薬に頼るだけでなく、食事やストレス、睡眠など日常生活の見直しに、ご自分で取り組みましょう。
1.費用 | ★保険 1ヶ月毎に診察料やお薬代で1,000円~2,000円がかかります。 ★自費 難治性ニキビでは光治療やレーザー治療を行う場合があります。 1回あたり5,500円~11,000円かかります。 |
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2.治療経過 | ニキビの程度や日常生活習慣により、治療期間は1ヶ月~1年と大きく異なります。 |
3.問題点 | ★治療に対する改善度に個人差が大きいこと。保険診療だけで治らない場合があること。 ★外用薬で、ヒリヒリしたり、赤くなったりすることがあること。 ベピオゲルとデュアックの主成分である過酸化ベンゾイル(BPO)は赤みが強くなる副反応が出る場合があります。直ちに使用を中止してください。 ★治療期間が長期にかかる場合があること。 ★ニキビ痕(赤みと凹み)が残る場合があること。⇒自由診療によるニキビ痕治療が必要。 |
症例


症例


症例


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にきびの語源&発生原因
にきび(尋常性ざ瘡)の語源
古い呼び方「にきみ」から「にきび」に転じた | にきびは皮膚にできる赤いキビの実のようなものなので、赤い色を意味する「丹(に)」に「黍(きび・古くはきみ)」で「にきび」になったとする説や、「肉黍(にくきび・にくきみ」が転じて「にきび」になったとする説。柔らかいものを意味する「和(にく)」からや、「肉(にく)」を語源とするなど諸説があります。 参考:語源由来辞典 |
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ざ瘡(痤瘡)という医学用語 | 、”痤”が腫れ物、”瘡”も腫れ物やかさぶたを意味する漢字です。 面皰(めんぽう)も痤瘡を意味しています。 |
尋常性とは | ’普通の’という意味だけで、難しそうな病名の響きを患者さんに与えたいからでしょうか? 皮膚の正式病名にはこの’尋常性’と付く病名がいくつもあります。 |
毛
毛の役割 | 本来、動物の体表を被う毛の役割は、水をはじいて保温することです。 水をはじくために、毛が伸びる途中で、毛の表面を皮脂 (粘調な油)でコーティングしながら、伸びるように工夫されているのです。 しかし、人間では毛髪以外で太い毛は失われて しまいましたが、粘調な皮脂を作る分泌腺 は皮膚の中に残されています。 |
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人間の場合 | 1. 毛の退行によって毛穴が小さくなる 2. 粘調な皮脂の分泌が増えると、詰まる 3. 皮脂に含まれている不飽和脂肪酸(リノール酸) 毛穴周囲の表皮角化細胞にカルシウムイオンを流入させ、細胞が異常状態になり、脱落しにくくなり、毛穴周囲の皮膚が厚くなって、毛穴が詰まることが最近の研究でわかってきています。 |
毛を剃ったあと急ににきびが多量に出る | 皮脂が外に出れなくなったため に起こる現象です。皮脂の過剰分泌は男性ホルモンが関係して います。女性ホルモンができる途中で男性ホル モンを経由するため、ひげが生えるあごに集中しやすいわけです。 |
アクネ菌
からだで一番多い菌 | 嫌気性菌。 毛穴が詰まって空気が入ってこない状況になると、増殖します。すると、炎症反応が生じ、赤くなるわけです。 |
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高GI食と乳製品
高GI食とは | 食後血糖が上がりやすい食事です。 インスリンとIGF-1が増加⇒PI3K ⁄ Akt回路を活性化⇒皮脂腺細胞と表皮角化細胞が増殖⇒皮脂の分泌増加と毛穴周囲の角化細胞増殖⇒毛穴が詰まりやすくなるという連鎖反応が発生 |
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GI(ジーアイ)=Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略。食後血糖値の上昇度を示す指標のこと。ただし、GI値は、血糖値の急上昇によるインスリンの過剰分泌と急降下、および、ピーク値の影響度合を表現できない値とも言われていますので、注意が必要です。
日常生活習慣の見直し
食事に関する学会の評価 | 推奨度C 推奨度B |
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ポイント | 1. 低GI食にすること 2. 乳製品を少なくすること |
1.食生活
減らすべき食事
1. 甘いお菓子(駄菓子、ケーキ、チョコ) | ⇒血糖値が上がり、インスリン分泌が増えます。余剰な糖は中性脂肪になります。 |
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2. 炭水化物(ご飯、パン、麺類など) | ⇒血糖値が上がり、インスリン分泌が増えます。余剰な糖は中性脂肪になります。 |
3. 脂っこい食品(カレー、ハンバーグ、唐揚げ、中華料理、マーガリン、コーヒーフレッシュ | ⇒トランス脂肪酸が炎症の原因になります。 摂り過ぎは毛穴周囲の表皮角化細胞を増殖させたり、中性脂肪で皮脂が粘調になり、毛穴が詰まりやすくなります。 |
4. 牛乳 | ⇒乳製品が悪化原因の一つであることを示す海外論文が多数あります。 |
増やすべき食事
1. タンパク質(肉、魚、卵、豆腐、納豆など) | ⇒肉と魚だと、1食あたり100gは食べましょう。20%がタンパク質なので、20gタンパク質が摂取できます。 |
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2. オメガ3脂肪酸(さば、さんまなど魚、亜麻仁油、エゴマ油など) | ⇒オメガ3脂肪酸には炎症を抑える作用があります。 ⇒サバ缶やサンマ缶を活用しましょう。タンパク質とオメガ3オイルと同時摂取できます。 ⇒オイルの場合、オメガ3は酸化しやすいので加熱してはいけません。 |
3. ココナッツオイル | ⇒飽和脂肪酸は酸化しませんので、炒め物に最適です。 |
4. オメガ6脂肪酸 | グレープシードオイル>こめ油>オリーブ油 |
☆ウドズオイル オメガ3/6ブレンドオイル | 亜麻仁だけでなく、ひまわり、胡麻、米胚芽、米ふすま、オーツ麦芽胚、オーツ麦ふすま、ココナッツオイル、月見草油、大豆レシチンから製造されています。 カナダ製 低温圧搾、冷凍輸送、冷凍保管、遮光瓶を使用して、製造、輸送工程での徹底的な酸化対策を図り、高品質を保っています。 寺田院長推薦
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2.睡眠
深夜0時を過ぎて寝たり、睡眠不足は大敵。 | 性ホルモン分泌を抑えるメラトニンが十分分泌されるように、夜は早めに10時から11時には入眠しましょう。特に生理前は早めにお休みください。 |
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☆トリプトファン⇒メラトニン | メラトニンを作るためにトリプトファンを多く含む食品(高野豆腐など)を食べましょう。 |
3.洗顔
洗い過ぎ注意。 | クレンジングや洗顔料に含まれる界面活性剤で、皮脂が取れ過ぎてしまうと、細菌や真菌が増殖しやすくなります。 朝は、ぬるま湯で流すのみがよいです。 夜は、クレンジングでファンデーションを浮かし、ぬるま湯で洗い流す 洗顔料を使いたい場合は、少量をよく泡立ててお使いください。 |
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☆BIGANKO(東京美容科学研究所) | ベントナイト粘土の微小な穴に汚れを吸着する働きがあります。 泡が立ちませんが、お肌がつるつるになってきます。 寺田院長推薦 船橋ゆーかりクリニックで販売 |
飲み薬4種類
食生活の改善に取り組みながら、内服すると治りやすくなります。何も変えなければ、内服を止めるとすぐ再発します。
ビタミンB(サプリメントを推奨) | 炭水化物に含まれる糖質を肝臓で代謝する際に多量のビタミンBが消費されるのです。 |
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ビタミンC(サプリメントを推奨) | ニキビ痕の炎症後色素沈着に有効ですが、保険では最小限の投与量ですので、サプリメントをお勧めしています。 |
ビタミン剤のご注意 | 厚労省通達により、食事が可能な方には処方できません。 |
トランサミン | 風邪を引いたとき、喉の腫れを引かせる目的でも処方される薬です。 2,3ヶ月内服すると、意外に効果が出てきます。止めると、ぶり返すという患者様が増えています。 |
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十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) | 女性 生理周期に関係する場合 2剤形あります。 錠剤(6錠x3回、9錠x2回) 顆粒 |
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荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) | 主に男性 女性でも生理周期に関係ない場合 苦い |
黄連解毒湯(おうれんげどくとう) | 主に男性 苦い |
ルリッド | ロキシスロマイシンという抗生物質です。 当院では炎症がひどい方に短期間投与しています。 |
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塗り薬
☆食生活の改善に取り組みながら、外用すると治りやすくなります。何も変えなければ、塗り薬を止めるとすぐ再発します。
★新しい塗り薬が立て続けに認可され、外用薬の選択がややこしくなってきました。今までの治療歴や普段の洗顔料の使い方、肌の性格をよく判断して使い分けています。基本処方は保湿薬+ニキビ外用薬1種類からになります。
☆初診時にかゆみがある方は、脂漏性皮膚炎の可能性があるため、ニゾラールローションで治療を始めて、改善してから、ニキビの治療になる場合があります。
- ビタミンA誘導体
- アダパレン
- 剤形
- ゲル
- クリーム(後発品)
- メリット
- 1日1回塗布
- 注意
- 妊娠時は使えません
- 赤くなる場合があるので、最初はごく少量を薄く伸ばして使用してください。
- ヒリヒリしたら洗顔して洗い流してください
- 抗生剤ではない抗菌剤
- 過酸化ベンゾイル
- 剤形
- ゲル
-
ローション
- メリット
- 1日1回塗布
- 注意
- 妊娠時は使えません
- 赤くなる場合があるので、最初はごく少量を薄く伸ばして使用してください。
- ヒリヒリしたら洗顔して洗い流してください
- 抗菌剤2種類配合
- 過酸化ベンゾイル
- クリンダマイシン
- 剤形
- ゲル
- メリット
- 1日1回塗布
- 注意
- 妊娠時は使えません
- 赤くなる場合があるので、最初はごく少量を薄く伸ばして使用してください。
- ヒリヒリしたら洗顔して洗い流してください
- 保湿
- ヘパリン類似物質
- 軟骨を作る成分のひとつ
- グリコサミノグリカン
- 剤形
- 軟膏
- クリーム
- ローション
- スプレー
- 泡フォーム
- 塗布回数
- 1日2回適宜
- 注意
- 後発品が多数あります。製剤によって性状がかなり異なるので、使ってみて、合うかどうか確認が必要です。