円形脱毛治療症例1
治療法
保険診療で、2週間に1回ずつ、ケナコルト注射のみ
経過
円形脱毛症の原因
免疫特権の破綻
円形脱毛症は長らくストレスが原因とされてきましたが、現在では自己免疫反応が関与していると考えられています。具体的には、頭髪に対してリンパ球が攻撃を行うことで、毛根がダメージを受け、結果として脱毛が発生します。これは「免疫特権の破綻」と呼ばれ、円形脱毛症の主要な発症メカニズムとされています。
ただし、円形脱毛症の発症メカニズムは完全には解明されておらず、遺伝的要因の他にストレスや疲労なども関与しているとされています。従って、規則正しい生活を心がけ、十分な休息や睡眠を確保してストレスを溜めないことが予防につながると考えられています。
腸内環境との高い関連性
腸の透過性と自己免疫の増加
- 現代社会が腸の健全性に与える影響で腸の透過性が高まり、これが円形脱毛症の原因または促進要因になる可能性があります。
糞便微生物叢移植(FMT)の効果
- FMTを行った高齢の患者で、治療後に円形脱毛症の症状が改善した事例が報告されています。
腸内細菌叢の乱れと自己免疫疾患の関連性
- 免疫細胞の約7割が腸に集中していることから、腸内環境の乱れが円形脱毛症の原因になり得ると考えられています。
腸内細菌叢の多様性の低下
- 円形脱毛症の患者では腸内細菌叢の多様性が低下しており、特定の種類の腸内細菌の減少が報告されています。
腸内環境悪化因子⇒具体的には
農薬の腸内環境への影響
名古屋大学の研究では、日常生活での有機リン系殺虫剤への曝露が、腸内細菌によって産生される短鎖脂肪酸の一種である酢酸の存在量に負の影響を与えることが示されました。これは腸管免疫制御などに関与するため、腸内環境における重要な変化と考えられます。
人工甘味料の影響
人工甘味料を含む一部の食品添加物は、腸内細菌、特に善玉菌の減少を引き起こし、結果として腸内環境を悪化させる可能性があります。
日常生活習慣の見直し
ストレスケア
1.運動・サウナ
週2,3回、適度に運動したり、サウナで自律神経を刺激しましょう。
- 自律神経の緊張と弛緩を繰り返して、刺激すると、末梢循環が改善します。
2.睡眠
深夜0時を過ぎて寝たり、睡眠不足は大敵。
- 性ホルモン分泌を抑えるメラトニンが十分分泌されるように、夜は早めに10時から11時には入眠しましょう。特に生理前は早めにお休みください。
☆トリプトファン⇒メラトニン
- メラトニンを作るためにトリプトファンを多く含む食品(高野豆腐など)を食べましょう。
3.食生活
減らすべき食事
1.甘いお菓子(駄菓子、ケーキ、チョコ)
- ⇒血糖値が上がり、インスリン分泌が増えます。中性脂肪になります。
2.炭水化物(ご飯、パン、麺類など)
- ⇒血糖値が上がり、インスリン分泌が増えます。中性脂肪になります。
- ⇒食品添加物が含まれている加工食品は要注意です。
- ⇒グルテンフリーを推奨します。
3.脂っこい食品(油が多い肉、カレー、ハンバーグ、唐揚げ、中華料理、普通のマーガリン、コーヒーフレッシュ)
- ⇒AGES(最終糖化産物)やトランス脂肪酸が炎症に原因になります。
増やすべき食事
1.タンパク質(肉、魚、卵、豆腐、納豆)
- ⇒赤身肉と魚だと、1食あたり100gは食べましょう。20%がタンパク質なので、20gタンパク質が摂取できます。
2.オメガ3脂肪酸(さば、さんまなど魚、亜麻仁油、エゴマ油など)
- ⇒オメガ3脂肪酸には炎症を抑える作用があります。
- ⇒サバ缶やサンマ缶を活用しましょう。タンパク質とオメガ3オイルと同時摂取できます。
- ⇒オイルの場合、オメガ3は酸化しやすいので加熱してはいけません。缶詰は真空状態で加熱しているんで、酸化していません。
3.ココナッツオイル・米油
- ⇒飽和脂肪酸は酸化しませんので、炒め物に最適です。米油は、オメガ6脂肪酸やγオリザノールが含まれています。
☆ウドズオイル 人気のオメガ3/6ブレンドオイル
- 亜麻仁だけでなく、ひまわり、胡麻、米胚芽、米ふすま、オーツ麦芽胚、オーツ麦ふすま、ココナッツオイル、月見草油、大豆レシチンから製造されています。
- カナダ製 低温圧搾、冷凍輸送、冷凍保管、遮光瓶を使用して、製造、輸送工程での徹底的な酸化対策を図り、高品質を保っています。
- 寺田院長推薦
紫外線照射(エキシマ)
特定の波長の紫外線を照射する方法。保険適応。
飲み薬
ストレスの改善に取り組みながら、内服すると治りやすくなります。
- 会社
- ミノファーゲン製薬
- 成分
- グリチルリチン酸一アンモニウム
- グリシン
- DLメチオニン
- 適応
- 円形脱毛
- 湿疹・皮膚炎
- 口内炎
- 慢性肝疾患
- 円形脱毛改善効果
- やや有効 73.6%
- 有効 56.7%
- 作用
- 免疫調節作用など
- 会社
- 化研生薬
- 成分
- タマサキツヅラフジ抽出アル カロイド
- 適応
- 円形脱毛
- 円形脱毛改善効果
- やや有効 64.4%
- 有効 53.3%
- 作用
- 末梢血管拡張による末梢循環改善
- 注意
- かなり古い薬剤だが、グリチロンと一緒に内服すると、円形脱毛に効果がある
- 桂枝加竜骨牡蠣湯
- けいしかりゅうこつぼれいとう
- 加味逍遥散
- かみしょうようさん
- 半夏厚朴湯
- ステロイド内服
- 適応
- 円形脱毛の範囲がかなり広い
- 円形脱毛が複数部位で再発している
- 脱毛のスピードが早くて、止まらない
- プチパルス
- 30mgから開始し、漸減する
塗り薬
☆ストレスの改善に取り組む必要があります。外用のみでは良くなりません。
フロジン
- 注意
- 2024年1月現在、供給がストップ中
- 会社
- 第一三共
- 成分
- カルプロニウム
- 作用
- アセチルコリン様の皮膚血流改善
- 剤形
- ローション
- 塗布回数
- 1日3回から4回
- 注意
- 発売が1968年とかなり古い。
- 独特なにおいがある
- 効果がよくわからないことが多い
各種ステロイドローション
- アンテベートスカルプローション
- トプシムローションなど
注射薬
内服で効果を認めないときは注射をお勧めします。
- 会社
- ブリストル・マイヤーズスクイブ
- 成分
- トリアムシノロンアセトニド
- ステロイド懸濁液
- 作用
- 局所持続作用が強いステロイド
- 適応
- ケロイド
- 肥厚性瘢痕
- 円形脱毛症
- 方法
- 2週間から1ヶ月に一度局注。
- キシロカインEとの混注
- 血管が収縮して滞留時間が伸びる
- 副作用
- 打ち過ぎると、周囲の脂肪組織が萎縮して、陥凹してしまう
- ごく表層の多くの部位にごく少量をちょこちょこ打つのがよい