いぼの種類と原因
いぼとは、小さくドーム状に盛り上がった皮膚のぶつぶつのことを指します。一見同じように見えても、原因や性質によって種類が異なります。このうちウイルス感染によって発生するものが、正式な「いぼ(疣贅:ゆうぜい)」です。
主な種類
- 水いぼ(伝染性軟属腫)
… ウイルス感染 - 尋常性疣贅・扁平疣贅
… ウイルス感染 - 首イボ(アクロコルドン・軟性線維腫)
… 加齢現象 - 老人性いぼ(脂漏性角化症)
… 加齢現象
ウイルスによるいぼ
尋常性疣贅や扁平疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。HPVには多数の型があり、部位や形状により見た目が異なります。
水いぼ(伝染性軟属腫)
ポックスウイルス科の伝染性軟属腫ウイルスによって発生します。小さく透明なつぶつぶが多発し、特にお子さんに多く見られます。 タオルや浮き輪の共用で感染が広がることがあります。
首イボ(アクロコルドン・軟性線維腫)
紫外線や摩擦などの刺激により、皮膚のケラチノサイトが異常増殖して生じます。加齢に伴う自然な変化の一つとされていますが、実は慢性的な栄養不足による皮膚再生力低下のサインです。
老人性いぼ(脂漏性角化症)
紫外線の影響で皮膚角化細胞(ケラチノサイト)の遺伝子が傷いた上に、糖質過剰によるAGES(最終糖化産物)が細胞内機能タンパク質と結合して、異常増殖。メラノサイトも刺激するためメラニン色素も増えます。このため、茶色い盛り上がったシミのように見えることが多いです。
いぼ治療結果(保険診療)
手指のいぼ(尋常性疣贅)
ウイルス性いぼの治療
ご注意
一回の処置で脱落することは稀です。通常は複数回の処置が必要です。
老人性いぼ(脂漏性角化症)
多発している脂漏性角化症の除去は審美面が強いため、シミと同様の自由診療で対応しています。
詳細は ブツブツ除去↗
日常生活習慣の見直し
ウイルス性いぼ(尋常性疣贅)の発生には、ウイルスに対する免疫力の低下が関係していると考えられます。
睡眠不足やストレス、過労などが続くと免疫が落ちやすくなります。免疫力を上げる食事(タンパク質の増量)や亜鉛・ビタミンDサプリメントの内服をお勧めします。また、腸内環境の悪化に関係している食品添加物・残留農薬・歯磨き粉にご留意ください。規則正しい生活、バランスの良い食事、十分な休養を心がけましょう。
食生活の見直し
減らすべき食事
- 甘いお菓子(駄菓子、ケーキ、チョコ)
⇒ 血糖値が上がり、インスリン分泌が増えます。中性脂肪になります。 - 炭水化物(ご飯、パン、麺類など)
⇒ 血糖値が上がり、インスリン分泌が増えます。中性脂肪になります。 - 脂っこい食品(カレー、ハンバーグ、唐揚げ、中華料理、マーガリン、コーヒーフレッシュ)
⇒ オメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸が炎症の原因になります。
増やすべき食事
- タンパク質(肉、魚、卵、豆腐、納豆)
⇒ 肉と魚は1食あたり100gを目安に。20%がタンパク質なので、約20g摂取できます。 - オメガ3脂肪酸(さば、さんまなどの魚、亜麻仁油、エゴマ油など)
⇒ 炎症を抑える作用があります。
⇒ サバ缶やサンマ缶を活用し、タンパク質と同時摂取を。
⇒ オイルの場合は加熱せずに使用します(酸化防止のため)。 - ココナッツオイル
⇒ 飽和脂肪酸は酸化しにくく、炒め物に最適です。
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製法:低温圧搾(コールドプレス)
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オメガ3脂肪酸は炎症を抑える働きがあり、アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルの改善に役立つとされています。
食事から取り入れることで、肌バリアや免疫バランスのサポートにもつながります。
飲み薬&サプリメント
即効性がある内服薬はありません。
食生活の改善に取り組みながら、処置や内服を続けると治りやすくなる印象があります。
飲み薬&サプリメント
ヨクイニン(ハトムギエキス)
対象: 普通のいぼ、水いぼに使用します。
作用: 皮膚の角化を整え、免疫をサポートします。
- 錠剤: 最大1日18錠まで服用可。
- 散剤: 小児は体重により量を調整します。
ビタミンD
作用: 免疫力を高め、皮膚の防御機能を維持します。
測定: 血中活性型ビタミンD₃濃度の測定が可能です。
- 低下時: ビタミンDサプリメントを補助的に使用します。
亜鉛
作用: 代謝を活性化し、皮膚の修復と免疫機能を助けます。
測定: 血中亜鉛濃度を測定します(基準値60~80μg/dL)。
- 60~80μg/dL: 亜鉛含有ミネラルサプリメントで補助。
- 60μg/dL未満: 処方薬「プロベジン」を使用します。
亜鉛欠乏との関係
6か月以上続く・再発を繰り返すいぼでは、血中亜鉛濃度の低下が関係していることが報告されています。 以下の研究結果では、いぼ患者の約半数で亜鉛が不足していました。
- 対象:12〜65歳のいぼ患者75例
- いぼ患者の56%で亜鉛濃度低下を確認
- 平均血中亜鉛濃度:いぼ患者80.4μg/dL、健常者83.6μg/dL
貼り薬&塗り薬
即効性がある外用薬はありません。食生活の改善に取り組みながら、治療と続けると治りやすくなる印象があります。
外用製剤・貼付剤
★治療の準備として処方する場合があります。
スピール膏
作用:サリチル酸の角質溶解作用
剤形:貼付剤
回数:1日1回
使用法:しばらく貼付した後、白くなった部分を削る
利点:自己処置可能
欠点:大きく貼りすぎると皮が剥け過ぎる・時間がかかる
注意:深く削ると出血することがあるので注意
ペンレス
概要:麻酔薬徐放テープ
適応:水いぼのみ保険適応
使用法:施術1時間前に貼付
処置
★ 1回で効果がある場合と、何度も処置を繰り返す必要がある場合と、さまざまなケースがあります。
当院で行っている主な方法
☆普通のいぼに対しては、スピール膏+削り+液体窒素処置を組み合わせて行っています。
時間はかかりますが、踵の分厚い多発イボでも徐々に改善してくる方が増えています。
⏱ 手足に多発しており、処置におおむね10分以上かかる場合は、
通常のいぼ処置料に加え、10分処置予約料1,000円をお願いしています。
主な処置法
★液体窒素療法は非常に痛みを伴うため、泣き叫ぶお子様や多発している場合は、免疫力を上げる食事(タンパク質の増量)や亜鉛サプリメントの内服をお勧めする場合があります。
液体窒素
原理:−196℃で凍結
適応:ウイルス性いぼ、水いぼ
方法:液体窒素を浸した綿棒を数秒間、3回程度押し当てる
頻度:2週間毎
利点:時間がかからない。非常に小さい場合でも可能
問題点:痛みを伴う。お子様が非常に怖がる。1回ではあまり効果が実感できません。また、顔や前腕、下腿で複数回強く当てると水疱や炎症性色素沈着が生じる場合があります。
摘除
原理:物理的除去(先端が輪になった専用ピンセット)
適応:水いぼ
方法:お子様はペンレスをお渡ししますので、来院1時間前にご自宅で10か所に貼ってきてください。ピンセットで挟んで除去します。
頻度:1回(数が多い場合は2週間毎)
利点:時間がかからない。1回の摘除で治る
欠点:痛みを伴う。子供が怖がる。非常に小さい場合は不可
電気メス
原理:物理的焼灼(電気メス・高周波メス)
適応:大きなウイルス性いぼ
方法:局所麻酔を行い、高周波メスで焼灼除去
頻度:1回
利点:時間がかからない。1回で治る場合が多い。小さい場合は早く治る
欠点:痛みがあるため麻酔が必要。大きい場合、炎症性色素沈着で茶色の跡が残り、長引くことがあります。
削り
原理:物理的削除(コーンカッター)
適応:胼胝、分厚いウイルス性いぼ
方法:薄く削る
頻度:月1回
利点:痛みが少ない。
スピール膏で白くなったイボを削ってから液体窒素処置を行うと、より効果的です。
欠点:時間がかかる。出血する場合がある