皮膚がんの手術頻度
皮膚悪性腫瘍の切除手術(当院) | 2016年~2023年8月の6年8ヶ月間で皮膚、皮下腫瘍切除術5497件、皮膚悪性腫瘍単純切除術27件で、皮膚悪性腫瘍単純切除の割合は全体で0.49%でした。この他、初期メラノーマ1件や大きな基底細胞癌1件は、連携病院をご紹介しましたので、手術件数には入っておりません。当院では、形成外科専門医として、基底細胞癌、扁平上皮癌、ベセルナ無効の日光角化症に対する手術を行っております。 |
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皮膚がんの手術費用
保険診療(当院では予約料を含みます)
- 皮膚悪性腫瘍単純切除術
- 40,000円前後
- 2割負担
- 28,000円前後
- 1割負担
- 16,000円前後
- 母子、生保など
- 1,300円~3,300円
- 皮弁形成術が必要な場合
- +7,000円(3割負担の場合)
- 真皮欠損用グラフト(ペルナック)使用時
- +1,700円(3割負担の場合)
皮膚がんの治療結果
ケース3
背部隆起性病変に鍼灸院でお灸したため、黒い痂皮が付着したまま、来院。くり抜き法で切除したところ、病理組織検査で扁平細胞癌と判明し、再手術として、5mm離して拡大切除(皮膚悪性腫瘍単純切除術)+縫合閉鎖術を行った。取り残しや再発なく、若干の白色瘢痕を残し、治癒。
手術費用のご負担は、生命保険の手術給付金で賄うことができました。

ケース2
左頬部ほくろをくり抜き法で切除したところ、病理組織検査で基底細胞癌と判明し、再手術として、2mm離して拡大切除(皮膚悪性腫瘍単純切除術)を行った。皮膚欠損部にはペルナックを充填被覆し、肉芽形成を促進。術後2週からアクトシン軟膏で上皮化促進。1ヶ月毎に外来通院して、再発なく、若干の白色瘢痕を残し、平坦化して、治癒。
手術費用のご負担は、生命保険の手術給付金で賄うことができました。

ケース1
鼻翼ほくろをくり抜き法で切除したところ、病理組織検査で基底細胞癌と判明し、再手術として、2mm離して拡大切除(皮膚悪性腫瘍単純切除術)を行った。皮膚欠損部にはペルナックを充填被覆し、肉芽形成を促進。術後2週からアクトシン軟膏で上皮化促進。1年間2ヶ月毎に外来通院して、再発なく、若干の陥凹を残して、治癒。
手術費用のご負担は、生命保険の手術給付金で賄うことができました。

皮膚がんの手術について
皮膚悪性腫瘍単純切除術のポイント
当院で手術対象となる皮膚がん | 基底細胞癌 扁平上皮癌 ベセルナ無効の日光角化症 ボーエン病 |
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方法 | 皮膚がんの周囲から2mm~5mm離して、深部は筋膜上で一塊として摘出します。 拡大鏡を使い、皮膚がんが切除面に露出していないことを確認しながら、摘出します。 その後、電気(高周波)メスで出血点を焼灼して、止血します。 皮膚欠損創が2cm程度までなら、真皮欠損用グラフト(ペルナック)を充填し、肉芽形成を促進。肉芽が再生したら、アクトシン軟膏で上皮再生促進。 皮膚欠損創がさらに大きい場合は皮弁形成術を行います。 |
★メリット★ | 対象となる皮膚がんは、通院治療が可能。 小さい皮膚がんは、発生部位のみで治療可能。 定期的なフォローアップ |
◎問題点◎ | 再発のリスク、精神的負担、不安 1年間の通院(2ヶ月に1回)が必要となります。 傷跡や赤み・凹みが残る 悪性黒色腫(メラノーマ)は当院で治療できません。 |
再発予防 | 抗酸化力や免疫力の悪化が皮膚がんの原因です。 お肌の紫外線対策だけでなく、食生活を見直しましょう。 からだの細胞や細胞外基質を構成するタンパク質やビタミン・ミネラルが必須になります。食生活を見直し、タンパク質、ビタミン、ミネラルを含む食品を十分食べていただくことと、亜鉛やビタミンDなどベースサプリメントの積極的な摂取をお勧めします。 |

皮膚がんについて
発症原因や機序
紫外線への過度な曝露
- 一般的な原因で太陽からの紫外線が主な要因。
遺伝
- 一部の皮膚癌は家族歴が関与している可能性。
免疫抑制
- 腎移植後など免疫が抑制されている方は、皮膚癌のリスクが高くなります。
放射線
- 過去に放射線治療を受けた方は、その部位に皮膚癌を発症するリスクが高くなります。
がんの種類と発生頻度
基底細胞がん (BCC)
- 最も一般的な皮膚がんで、全体の皮膚がんの中で約80%を占めます。
扁平上皮がん (SCC)
- 2番目に一般的で、全体の約20%を占めます。
悪性黒色腫(メラノーマ)
- 発生頻度は比較的少ないが、最も致命的な皮膚がんとされています。
稀ながん
- 脂腺悪性腫瘍
性別による発症差
男女間の発症差は、環境的要因や生活習慣によるものが大きい。一般的に男性の方が皮膚がんのリスクが高いとされていますが、地域や文化によって異なる場合があります。
検査法
皮膚拡大鏡(ダーモスコープ)
- 疑わしい皮膚変化がないかどうかを拡大して診察します。
皮膚生検(組織試験切除)
- 疑わしい部分から組織を一部採取して、病理専門医が顕微鏡で細胞を調べます。病理組織学的検査と呼びます。採取した部位は縫合。
治療法
外用剤
- 早期の一部の皮膚がんや前癌病変に効果的。日光角化症の治療にはベセルナクリームが処方できます。
外科的切除
- 皮膚がん細胞をすべて摘出するために、境界から最低2mm離して、深部の層まで切開を入れ、一塊に切除します。
- 摘出後の皮膚欠損部は、真皮欠損用グラフト(ペルナック)を充填し、毛細血管の再生(肉芽形成)を促進し、アクトシン軟膏で上皮化を図ります。
- 皮膚欠損が大きい場合は、周囲の皮膚を移動する皮弁形成術を行う場合があります。
光線力学的療法 (Photodynamic therapy, PDT)
- 皮膚がんでは、日光角化症、ボーエン病、表在性基底細胞癌の治療に使われることがあります。当院では行っていません。
放射線治療
- がん組織に放射線を当てて治療する方法ですが、皮膚がんでは一般的に行われません。
化学療法
- 悪性黒色腫(メラノーマ)の治療では化学療法が行われます。当院では千葉県がんセンターや虎の門病院皮膚科をご紹介しています。
合併症の対処法+アフタケア
皮膚悪性腫瘍単純切除術の場合
上皮の再生遅延(皮膚潰瘍) | アクトシン軟膏塗布 |
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肥厚性瘢痕 | ドレニゾンテープ貼付 |
再発のチェック | 術後1年間フォローアップ 皮下にしこりができていないか、リンパ節は腫れていないかどうか、触診やエコーでチェックします。 |