擦過傷治療マニュアル
救急治療(医療機関用)
救急医療関係の皆様へ、擦過傷(すり傷)を早くきれいに治す方法を公開しています。参考にしていただくと幸いです。 |
---|
創部を生理食塩水で洗い流すだけでなく、ミクロの汚れをブラシで掃き落とす必要があります。きちんと治療すれば、1週間できれいになります。 |
広範囲の症例を提示します。 |
一般の方はこちらへ
救急処置方法
救急対応の医療関係者へ
準備物
- 1.エムラクリーム(局所麻酔クリーム)
- 保険適応外使用のため、保険請求できません。
- 2.キシロカイン1%E(局所麻酔注射)
- 保険請求できます。
- 3.食品用ラップ(エムラクリームのODT療法)
- 保険請求できません。
- 4.生理食塩水20ml or 点滴用生食100ml
- 保険請求できます。
- 5.ブラシ(市販の歯ブラシ)
- 保険請求できません。
- 6.創傷被覆材
- デュオアクティブ・レプリケアなど
- 現在はメロリンを使用しています。
- 保険請求できませんが、
- 滲出液が出るため、吸収性パットの方がよいです。
保険請求
- 創傷処理(筋肉・臓器に達しないもの)
- 擦過傷も顔面挫創の一種です。きちんと処置しなければ、通院日数の長期化、炎症後色素沈着など後遺症が残り、とくに顔面で広範囲の擦過傷では醜形を残し、著しいQOLの低下を招きます。
処置のタイミング
- 受傷直後
- 受傷後、2,3日経っていても大丈夫です。
- 創部はフィブリン膜で覆われていますが、その下に汚れがあるので、フィブリン膜や痂皮は積極的に除去してください。
麻酔
- エムラクリームを創部に直接塗布して、ラップでカバーし、30分待ちます。
- 切り傷を伴っている場合は、1%Eキシロカインで麻酔注射も併用します。
前準備
- 創部がフィブリン膜で覆われている場合は、鑷子やブラシで積極的に除去して下さい。除去しなければ、汚れが残ってしまいます。
処置
- 1.生理食塩水を創部に垂らしながら、ブラシで創部を擦ります。
- 2.砂粒が落ちるように、短いストロークで、さっさっと掃くように、動かすとよいです。ダーモスコープがあれば、砂粒が落ちたかどうか、確認できます。
- 3.生食で洗い流せば、消毒する必要はありません。
処置後
- デュオアクティブやレプリケアなど医療用創傷被覆材でカバーし、いわゆる湿潤環境を保ちます。
- 滲出液を吸収性できるメロリンでカバーしておくとよいでしょう。
- 創傷被覆材がない場合は、精製ワセリンのプロペトをラップにたっぷり塗布して創部をカバーし、テープで固定しておくといいでしょう。
上皮化
- 1週間前後で速やかに上皮が再生して、きれいなピンク色のお肌になります。
アフタケア
- 赤みがあるうちは、日焼け止め外用などで紫外線防止を徹底してください。
後遺症
- 炎症後色素沈着=うす茶色の痕
- 3か月を過ぎると自然と薄くなってきますが、傷の深さや体質によって、茶色が薄くなるまでにかかる時間が異なります。
- 日焼けしていると、炎症後色素沈着は残りやすくなります。
- 治療法:トランサミンの内服やトランサミン注射液の局注療法(自費)
- 外傷性刺青
- 泥粒が残って、薄くて細い黒い線や点が残る状態
- 水道水で流すだけで、ブラッシングしない場合は、異物が多くなります。
- 治療法:レーザー照射療法(Qスイッチもしくはピコ)