ブクラデシンNa軟膏のニキビ痕に対する効果の検討
学会発表 | 2016年8月東京で開かれた日本美容皮膚科学会で発表しました。 |
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趣旨 |
ニキビに対する薬物治療は新しい薬剤の登場で選択肢が増え、治療効果の改善が期待されているますが、すでに成熟してしまった陥凹瘢痕を有するニキビ痕の治療には難渋しています。かろうじて、フラクショナルレーザーが改善効果が認められるものの、時間や費用がかかります。そこで、皮膚潰瘍の外用治療薬ブクラデシンナトリウム(DBcAMPと略記、商品名アクトシン)軟膏に表皮再生促進作用があることに着目しています。今回、ニキビ痕の陥凹瘢痕に関して、症例数を増やし、さらに検討を重ねたので報告します。 |
研究目的 | 陥凹性ニキビ痕がブクラデシンNa軟膏の外用だけで改善するかどうかを、3次元皮膚色調分析器アンテラ3Dで検討することです。 |


















ブクラデシン軟膏はニキビ痕を改善
対象 |
陥凹性瘢痕を有するニキビ痕患者
13名(男性7名、女性6名、平均28.8歳) |
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解析 |
27部位
頬部 13症例25部位
こめかみ(目尻)1症例2部位 |
塗布方法 |
1日1回就眠前に患部に塗布 |
塗布時の注意点 |
臭いがあるので、嫌気を感じたら、中断可。
赤みやぴりぴりした刺激感がある場合は中断可。 |
評価法 |
改善率
アンテラ3Dの解析画像から選択領域で、算出される治療前後の陥凹体積から、以下の式で改善率(%)を求めた。
改善率(%)=(AーB)/A X 100
改善率に基づくランク分類
ランク 改善率
-1(悪化) -5%~-2%
0(効果なし) -2%~2%(未満)
1(微少効果) 2%~5%(未満)
2(並の効果) 5%~10%(未満)
3(上の効果) 10%~20%(未満)
4(特上効果) 20%~30%(未満)
5(最上効果) 30%~
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結果 |
◎ニキビ痕の陥凹瘢痕に対してブクラデシンNa軟膏を塗布して、男女ともランク3の改善が最も多かった。無効だった塗布面は27面中、2面のみであった。ランク3以上の改善が認められた塗布面が23面あり、85.2%の有効率であった。ニキビ痕の陥凹瘢痕に対するブクラデシンNa軟膏の有効性を再確認することができた。 |
まとめ |
◎褥瘡や熱傷潰瘍など皮膚潰瘍に対する外用治療薬ブクラデシンNa(アクトシン)軟膏がニキビ痕の瘢痕性陥凹に対して改善効果を有するかどうかを検討した。 |