抗ヒスタミン剤の比較
デザレックス
1日1回一般名:デスロラタジン
- 用量目安:5 mg 就寝前または朝
- 鎮静性:最小
- 発現:1–3 時間
- 相互作用:少ない(果汁の影響は基本なし)
- 備考:2世代。ドライビング向き
ルパフィン
1日1回一般名:ルパタジン
- 用量目安:10 mg
- 鎮静性:低〜中
- 発現:0.5–1 時間
- 相互作用:グレープフルーツ回避(CYP3A4)
- 備考:抗PAF作用による鼻閉軽減に期待
ビラノア
1日1回一般名:ビラスチン
- 用量目安:20 mg
- 鎮静性:最小
- 発現:約1 時間
- 相互作用:空腹時服用推奨(食事・果汁で吸収低下)
- 備考:果汁・乳製品と同時摂取NG
ザイザル
1日1回一般名:レボセチリジン
- 用量目安:5 mg
- 鎮静性:低〜中(個体差あり)
- 発現:~1 時間
- 相互作用:少ない
- 備考:腎機能低下で減量検討
アレジオン
1日1回一般名:エピナスチン
- 用量目安:20 mg
- 鎮静性:低
- 発現:~1 時間
- 相互作用:少ない
- 備考:抗アレルギー作用バランス良
クラリチン
1日1回一般名:ロラタジン
- 用量目安:10 mg
- 鎮静性:最小
- 発現:1–3 時間
- 相互作用:少ない
- 備考:ドライビング向き
タリオン
1日2回一般名:ベポタスチン
- 用量目安:10 mg × 2回
- 鎮静性:低〜中
- 発現:~1 時間
- 相互作用:少ない
- 備考:即効性に定評
アレロック
1日2回一般名:オロパタジン
- 用量目安:5 mg × 2回
- 鎮静性:低〜中
- 発現:~1 時間
- 相互作用:少ない
- 備考:掻痒・蕁麻疹にもよく使用
アレグラ
1日2回一般名:フェキソフェナジン
- 用量目安:60 mg × 2回(合計120 mg/日)
- 鎮静性:最小
- 発現:~1 時間
- 相互作用:果汁(グレープフルーツ等)で吸収低下
- 備考:運転可の代表格
注意事項(院内向けメモ)
- 「鎮静性」は一般的傾向。個体差あり。運転許可の可否は添付文書の最新記載に従う。
- ビラスチンは食直前/食後同時で吸収低下:目安「食前1時間 or 食後2時間」。
- ルパタジンはグレープフルーツ回避(CYP3A4)。
- フェキソフェナジンは果汁回避(OATP)。
- レボセチリジンは腎機能で用量調整検討。
外用薬の比較
ブイタマクリーム
非ステ一般名:タピナロフ
機序:AHR作動薬(抗炎症/バリア改善)
- 剤形:クリーム
- 部位:顔含め可(刺激少)
- 特徴:長期管理で皮膚質改善に期待
- 注意:まれに軽い頭痛・刺激感
モイゼルト軟膏
非ステ一般名:ジファミラスト
機序:PDE4阻害(抗炎症/掻痒軽減)
- 剤形:軟膏
- 部位:顔・頸部◎(刺激少)
- 特徴:プロトピックより灼熱感が少ない傾向
- 注意:刺激感が出たら頻度調整
コレクチム軟膏
非ステ一般名:デルゴシチニブ
機序:JAK阻害(炎症・掻痒経路を抑制)
- 剤形:軟膏
- 部位:顔・皮膚薄い部位◎
- 特徴:長期使用で皮膚萎縮なし
- 注意:びらん面は刺激あり得る
プロトピック軟膏
非ステ一般名:タクロリムス
- 剤形:軟膏(0.03%/0.1% 等)
- 部位:顔・眼周囲に適
- 特徴:皮膚萎縮なし/寛解維持に
- 注意:初期に灼熱感(数日で軽減しやすい)
機序:カルシニューリン阻害
ネリゾナ
ステ一般名:ジフルプレドナート(Difluprednate)
- 剤形:クリーム/軟膏/ローション
- 部位:体幹・四肢など厚い皮膚に
- 特徴:「非常に強い」クラスのステロイド。紅斑・腫脹を素早く改善
- 注意:顔面・陰部など薄い皮膚には使用を控える。短期使用を基本
アンテベート
ステ一般名:ベタメタゾンBBP(強)※目安
- 剤形:ク/軟 等
- 部位:体幹・四肢向け
- 特徴:滲出・紅斑の急性期に
- 注意:長期・顔面連用は回避
マイザー
ステ一般名:ジフルコルトロン酪酸エステル(非常に強い)※目安
- 剤形:ク/軟 等
- 部位:躯幹・四肢の急性増悪
- 特徴:速効性
- 注意:顔・陰部は避ける
リンデロン(各種)
ステ一般名:ベタメタゾン(強〜中等度)※製剤により差
- 剤形:V/DP 等
- 部位:体幹・四肢
- 特徴:適応広い代表格
- 注意:顔は短期・スポットで
ロコイド
ステヒドロコルチゾン酪酸(中等度)※目安
- 剤形:ク/軟 等
- 部位:顔・首など薄い皮膚に比較的可
- 特徴:小児や維持期に
- 注意:長期連用は避ける
キンダベート
ステ一般名:デプロドンプロピオン酸(中等度)※目安
- 剤形:ク/軟 等
- 部位:顔・屈側などに
- 特徴:小児にも使われることが多い
- 注意:長期連用は避ける
プレドニン
ステ一般名:プレドニゾロン(弱)※目安
- 剤形:ク/軟 等
- 部位:顔・陰部など薄い皮膚に
- 特徴:維持・漸減時の置換に
- 注意:効果不十分時は階層調整
ネオメドロール
抗菌+ステ一般名:メチルプレドニゾロン+フラジオマイシン
- 剤形:軟膏 等
- 用途:二次感染合併の湿疹等
- 特徴:炎症+感染対策を同時に
- 注意:培養・単剤化の判断を併用
オイラックス
非ステ一般名:クロタミトン
- 剤形:クリーム/ローション等
- 用途:軽度掻痒の補助
- 特徴:清涼感・かゆみ軽減
- 注意:強い皮疹単独では力不足
レスタミンコーワクリーム
非ステ一般名:ジフェンヒドラミン
- 剤形:クリーム
- 用途:軽度掻痒・虫刺され 等
- 特徴:内服困難時の補助に
- 注意:接触皮膚炎の既往に留意
アクアチム軟膏
抗菌一般名:ナジフロキサシン軟膏
- 剤形:軟膏/クリーム
- 用途:とびひ等の細菌感染
- 特徴:耐性対策で期間管理
- 注意:漫然投与回避
フシジンレオ軟膏
抗菌一般名:フシジン酸軟膏
- 剤形:軟膏
- 用途:局所化した感染病変
- 特徴:痂皮下の浸透に留意
- 注意:耐性化に注意し短期使用
ヘパリン類似物質軟膏
一般名:ヘパリン類似物質
- 剤形:軟膏/クリーム/ローション
- 用途:乾燥・ひび・あかぎれ、皮脂欠乏性湿疹、アトピーの保湿補助
- 特徴:角層の水分保持・血流改善作用
- 注意:塗布初期に軽い刺激・赤みを感じることあり
亜鉛華軟膏
一般名:亜鉛華軟膏
- 剤形:軟膏
- 用途:びらん・滲出の保護
- 特徴:創部のドライアップ
- 注意:厚塗りで閉塞感出ること
プロペト
一般名:精製白色ワセリン
- 剤形:軟膏
- 用途:保湿・スキンバリア補助
- 特徴:添加物極少で敏感肌向き
- 注意:ベタつき・閉塞感
注意事項(院内向けメモ)
- 「強さ」はあくまで目安。同名でも規格・基剤で強さが変わる製剤あり(例:リンデロン V/DP)。
- 顔・陰部・皺部は非ステ or 弱〜中等度ステを短期。寛解維持は非ステ主体。
- 二次感染が疑わしい時は培養も検討。抗菌+ステは短期に限定。
- 刺激(灼熱・ピリつき)は炎症強い局面で出やすい:まずは急性炎症を鎮める→非ステへデエスカレートが無難。
Drてらだの治療薬選択
院内プロトコル・注意書き
- ダニIgE高値:オイラックス+リンデロンクリーム混合。
- 掻爬で新発疹:オイラックス+リンデロンV+ナジフロ混合。
- 保護:プロペト+亜鉛華混合。
- 炎症+感染兆候:プロペト+亜鉛華+ナジフロ軟膏混合(短期)。
- TARC高値:痒み強→ストロング級ステ→改善後プロトピック/コレクチムへ。
赤み主体→ブイタマ、痒み減少→モイゼルト。 - 結節性痒疹・重度掻痒:ステロイド・非ステ外用で不十分な場合、ミチーガ(デュピルマブ皮下注)を検討。
- 栄養・生活:オメガ3(青魚缶詰)、タンパク質・ビタミンA/B/C・亜鉛補給。
腸粘膜刺激性食品・添加物・残留農薬に注意。
結節性痒疹・重度掻痒
重症強い痒み/多発する結節性皮疹
- 内服:ルパフィン/タリオン(抗ヒスタミンで補助)
- 外用:ストロング級ステ+非ステ外用(ブイタマ・プロトピック等)
- 生物学的製剤:ミチーガ(ネモリズマブ皮下注)
IL-31経路を抑制し、炎症と痒みを軽減。 - 補足:アトピー素因・TARC高値例で有効。
点滴部位反応や結膜炎に注意しながら長期管理。
ダニIgE高値
中等症痒み優位/ダニ感作例
- 内服:デザレックス/ビラノア
- 外用:オイラックス+リンデロンクリーム混合
- 補足:寝具ダニ対策と保湿併用
掻爬で発疹拡大
中等症掻破+感染併発型
- 内服:アレロック/ザイザル
- 外用:オイラックス+リンデロンV+ナジフロ混合
- 補足:滲出鎮静後に保湿+非ステ移行
保護・皮膜形成
軽症びらん・滲出保護
- 外用:プロペト+亜鉛華混合
- 補足:乾燥・摩擦予防目的
炎症+感染兆候
中等症紅斑+滲出・感染型
- 外用:プロペト+亜鉛華+ナジフロ混合(短期)
- 補足:改善後は保湿+非ステへ
TARC高値/アトピー主体
重症痒み強いアトピー型
- 外用:ストロング級→プロトピック/コレクチムへ
- 補足:保湿+トリガー回避
赤み主体
中等症炎症・バリア両面に
- 外用:ブイタマクリーム+保湿
- 補足:刺激時は頻度調整
痒み減弱・維持期
軽症PDE4抑制維持
- 外用:モイゼルト+保湿
- 補足:寛解維持へ
栄養・生活指導
軽症再燃しにくい体質改善
- 食事:サバ缶・オメガ3・タンパク質増量
- 補助:ビタミンA/B/C・亜鉛
バイオ製剤の比較
外用や内服で十分な改善が得られない場合に用いる注射薬(生物学的製剤)の比較です。
当院は ミチーガ(ネモリズマブ) に対応しています(痒みが非常に強い方にメリットが大きいお薬です)。
デュピクセント
IL-4/13一般名:デュピルマブ(Dupilumab)
- 対象:中〜重症のアトピー性皮膚炎
- 投与間隔:隔週皮下注(例)
- 患者さんのメリット:
- 炎症・赤み・乾燥など症状全体を広く改善しやすい
- バリア機能の回復を後押し→再燃しにくい肌作りに貢献
- ※結膜症状・注射部位反応などに注意
ミチーガ
一般名:ネモリズマブ(Nemolizumab)
- 対象:結節性痒疹/痒みが非常に強いAD
- 投与間隔:4週毎皮下注(例)
- 患者さんのメリット:
- 痒みの神経経路(IL-31)を直接ブロック→掻破サイクルを断つ
- 睡眠の質や日中活動の改善などQOL向上が期待
- ※注射部位反応、まれに倦怠感等に注意
アドトラーザ
IL-13一般名:トラロキヌマブ(Tralokinumab)
- 対象:中〜重症のアトピー性皮膚炎
- 投与間隔:隔週皮下注(例)
- 患者さんのメリット:
- IL-13を選択的に抑え炎症とバリア機能を整える
- 外用の減量・ステロイド依存の軽減に貢献
- ※結膜症状・注射部位反応などに注意
イブグリース
IL-13一般名:レブリキズマブ(Lebrikizumab)
- 対象:中〜重症のアトピー性皮膚炎
- 投与間隔:2〜4週毎皮下注(例)
- 患者さんのメリット:
- 赤み・炎症にフォーカスしたコントロール
- 間隔を調整できる設計→通院負担の軽減に期待
- ※注射部位反応などに注意