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陥入爪のフェノール法

医師向け資料

フェノール法マニュアル

準備物

1.キシロカインポリアンプ1A
2.2mlシリンジ

  • ブロック麻酔用

3.フェノール500ml

  • 参加防止のため小分けにしない

4.綿棒(5本~10本)

  • フェノール浸透用

5.無水エタノール20ml

  • フェノール中和用

6.5mlシリンジ

  • エタノール用

7.生理食塩水20ml

  • フェノール洗浄用
  • シリンジはエタノール用を使う

8.駆血用アトムチューブ
9.モスキート鉗子2本

  • 固定用と爪操作用

10.直剪(コブラ剪刀)
11.清浄綿、ハイゼカーゼ、滅菌ガーゼ、包帯、固定用テープ適量
12.患者様には、幅が広いサンダルを用意してもらうこと

フェノール法の施術手順

1.幅が狭くなっている基節骨中央部でブロック麻酔

  • 片側の処置でも、両側を注射すること。
  • 1回の注射で指腹側と、引いた時に指背側にも入れる。

2.5分後に追加麻酔、痛みの有無を確認

  • IP関節レベルで指腹側と指背側に斜めに追加麻酔。

3.アトムチューブで駆血

  • 第1趾をハイゼガーゼで包み、術者の手で握って、静脈血を追い出してから、駆血。アトムチューブはモスキート鉗子で挟む。看護師の手助けが必要。

4.側爪郭の爪甲をコブラ剪刀で後爪郭の下まで切り上げる。
5.切った爪甲をモスキート鉗子で挟んで、回しながら、手前に引いて、除去。

  • 回しながら引っ張ると、爪に付着する表皮も一緒に取れる。

6.肉芽があれば、コブラ剪刀で側爪郭の形に沿って、切除。
7.出血が多ければ、駆血のやり直し。
8.出血が少なければ、清浄綿で出血を拭いておく。
9.綿棒の先端をフェノールに少し漬ける。

  • 側爪郭のスペースが広い場合は、綿棒を2本使用する。
  • フェノールのボトルは、その都度、看護師に蓋の開け閉めをしてもらう。

10.フェノール綿棒を側爪郭~後爪郭に押し込む。
11.30秒ごとに交換する。

  • 出血がある場合は、適宜清浄綿で拭き取る。

12.5回交換して、3分30秒フェノールを浸す。

  • 出血が多い場合は、4分以上、長くしても良い。

13.終わったら、無水エタノールで中和洗浄1回
14.同じシリンジに生食を5ml吸って、洗浄1回
15.駆血を外して、ガーゼと包帯で圧迫止血を行いながら、15分間安静
16.止血を確認し、軟膏ガーゼを当てて、包帯で圧迫して終了。

保険請求

陥入爪根治術(簡単)

  • 左右行った場合は、別々に請求できますが、同じ指の外側と内側は1つの請求のみになります。

フェノール法のこつ

他院でフェノール法を行ったけど、また生えてきたという患者さんに遭遇したことがありましたので、ここに書き記しておきます。

フェノールとは

フェノールは昔の消毒薬ですが、組織を腐食する作用があり、爪を造る細胞にダメージを与え、爪を生えなくすることができます。

フェノールの注意点

フェノールは酸化しやすいので、きちんと効果を発揮させるためには、ちょっとしたこつがあります。

1. フェノールの保管

小分けにしないこと。褐色瓶から出さずにそのまま綿棒を入れて使用しています。

2. 出血させないこと

一番重要なことですが、血液に含まれているヘモグロビンには酸素が含まれていますので、フェノールが血液に触れると、酸化してしまいます。
足指の付け根をアトムチューブで駆血することが必要です。爪の端を根本まで除去したり、肉芽を切除したりすると、側爪郭から出血するからです。

3. フェノールの交換

フェノールは空気中の酸素とも反応し、酸化して、効果がなくなってしまいますので、頻繁な交換が必要です。
およそ30秒毎に交換することが肝要です。

4. 側爪郭が広い場合

フェノールを付けた綿棒を2本いっぺんに入れて、処置すること。空間に余裕が無いようにフェノールを付けた綿棒で爪母を圧締します。

足指麻酔のこつ

オベルスト麻酔(指神経ブロック)

いきなり、足指先に針をとても痛いので、最初に指先に注射してはいけません。
オベルストという指神経ブロック麻酔で足指の根本近くで麻酔します。
針は、骨の幅が狭い中節部に刺します。左右の端に2か所。
背側から刺して、指骨の横を通り、腹側で0.5ml注入
その後、抜いて背側で0.5ml注入。
背側に入れてから、腹側に入れても構いません。
趾の両サイドで指腹側と指背側に効かせます。

治療のポイント

痛みと肉芽のコントロール

食い込んでいる爪を斜めに切って、除去します。同時に赤い肉芽も切り取って、除去します。
出血しやすいので、足を高くして、15分間圧迫止血を行います。
切り取ると、巻いてしまうからということで、抗生剤の内服や外用を継続しても、原因となっている爪棘を除去しない限り、治りません。
食い込みを繰り返す場合は、フェノール法で、爪のサイド2,3mm幅を生えなくすると、食い込まなくなって快適になります。

爪がくい込むことを予防する

再発予防に指の腹にテープを貼って、引っ張り、爪から皮膚を離す方法があります。

お礼

最後までお読みくださり、ありがとうございました。何かご不明な点がございましたら、無料メール相談からお気軽にご相談ください。
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