粉瘤
ふんりゅう

特徴 | 粉瘤は、毛穴の表皮細胞から発生し、顔や背部に多いしこりです。 粉瘤は自然に治ることはなく、治療には被膜ごと摘出する外科的手術が必要です。 再発防止には完全摘出が重要です。早期の受診と適切な処置が望まれます。 |
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術式 | 従来法として、粉瘤のサイズで皮膚を紡錘切除して、摘出する術式 改良法として、粉瘤のヘソを含めて半分以下の紡錘切開で袋に穴を開けて、中身を出してから、袋を摘出する方法。短い切開で粉瘤を摘出できるので、可能ならお勧め。粉瘤が皮膚とあまり癒着していない状態に限るという条件あり。 |
粉瘤の摘出結果
症例2
肩に生じた粉瘤。
概要 | 肩のしこり。エコーで後方エコーが白く増強する嚢腫の所見。しこりより紡錘切開から摘出。しこりの半分の長さで紡錘切除でくり抜いて、内容を先に出してから、袋を除去しました。 |
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手術名 | 皮膚・皮下腫瘍摘出術(露出部2cm未満) |
しこり名 | 粉瘤 |
経過 | 術後の圧迫は24時間、その後の出血は少量。自宅で自己処置を行い、1週間後に抜糸 |
費用 | 総額 8,000円(3割負担) 内訳 手術料4,980円 |
リスク | 疼痛、術後出血、術後感染、創離開 傷跡の残存、肥厚性瘢痕、ケロイド |

症例1
側頚部の赤く腫れた粉瘤
概要 | 首の横に大きく腫れて赤くなった皮下の膿瘍(膿が貯まった状態)を認め、緊急で切開排膿。1ヶ月後には炎症が軽減し、無事に粉瘤を摘出することができました。炎症で被膜が分厚く、周囲と強くくっついていたため、摘出には時間がかかりました。 |
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術式 | 皮膚・皮下腫瘍摘出術(露出部2~4cm) |
腫瘍名 | 粉瘤 |
経過 | 術後の圧迫は24時間、その後の出血は少量。自宅で自己処置を行い、1週間後に抜糸 |
費用 | 総額 約20,000円 内訳 切開排膿 約6,000円 |
リスク | 疼痛、術後出血、術後感染、創離開 傷跡の残存、肥厚性瘢痕、ケロイド |

しこりの治療法
当院の特徴
要点 | 寺田院長は日本専門医機構認定形成外科専門医 手術は、院長と非常勤医師が担当します。 手術のご負担軽減のため、少ない通院日数を心がけています。 |
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通院3回
流れ | ①初診(診断、治療方針の説明、手術承諾書にサイン、ご予約) ②手術(20分~30分) ③1,2週間後に再診して抜糸 |
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例外 | 術後1,2ヶ月で、傷跡が赤くなったり、硬く盛り上がる肥厚性瘢痕が発生した場合はご来院ください。 |
術前検査
要点 | 術前採血検査はありません。 |
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例外 | 1.高血圧、糖尿病、心臓病、膠原病など持病がある方は検査を行う場合があります。 2.針刺し事故が発生した場合は、採血をお願いする場合があります。 3.術後出血、創離開、皮下血腫など合併症が発生した場合は、通院回数は増えます。 |
手術料
保険診療では露出部や露出部以外、しこりのサイズで区分しています。
露出部 | 頭部、顔面、頚部、肘・前腕・手、膝・下腿・足背 2cm未満 約5000円(3割負担) 2~4cm 約11,000円(3割負担) 4cm以上 約15,000円(3割負担) |
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露出部以外 | 胸部、腹部、背部、陰部、殿部、上腕・肩、大腿、足底 3cm未満 約3,900円(3割負担) 3~6cm 約9,700円(3割負担) 6~12cm 約12,500円(3割負担) 12cm以上 約25,000円(3割負担) |
予約料
料金 | 10分手術で1,000円 |
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付記 | 手術時間にはお着替えや麻酔の待機時間、術後の説明時間などを含めます。 |
病理組織検査
要点 | 細胞の増殖所見がある腫瘍のみ。通常の粉瘤では行っておりません。 |
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費用 | 3割負担 約3,000円 |
お子様の手術
お子様とよくご相談の上、局所麻酔手術をお受けになれる場合があります。
OK | 聞き分けできる年代(5,6歳)から。 20分前後ベッド上で静止できるお子様。 注射の痛みを我慢できるお子様。 |
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NG | すぐ動いてしまうお子様 注射の痛みで泣いてパニックになるお子様 |
摘出術
手順 | しこりの周囲に局所麻酔の注射を行います。 紡錘形に皮膚を切開します。 しこりの周囲組織を剥離します。 しこりを摘出します。 電気メスで止血します。 切開部は手術用ナイロン糸などで皮下(浅筋膜、真皮)、皮膚を縫合閉鎖します。 抜糸は1週間~2週間かかります。 出血が多かった場合は、血抜き用のドレーンチューブを留置する場合があります。 この場合、翌日診察で、ドレーンを抜去します。 |
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※吸収糸※
注意 | 吸収する過程で炎症を引き起こすことが増えている印象があるため、最近は使用しない場合が増えています。 |
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皮膚だけ縫合する部位
部位 | まぶた、耳、脇(腋窩)など皮膚が薄い部分 手、足、背部、殿部など皮膚が硬い部位 |
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合併症とアフタケア
痛み
要点 | 術後1,2時間で麻酔効果がなくなっても、通常はさほど痛くないことが多いですが、個人差があります。 |
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対処 | ご希望される場合、痛み止めを処方します。 ご希望されないと、痛み止めをお渡ししません。 |
注意 | 手術終了時に担当者が痛み止めのおくすりをご希望されるかどうか確認しますが、事前にお伝えいただくと助かります。 |
皮下血腫、内出血
要点 | とくに大きな脂肪腫を摘出した後に出血しやすいので、ドレーンというチューブを皮下に一晩留置する場合があります。この時はドレーンを抜く必要がありますので、翌日の受診をお願いしています。 稀に摘出部位からじわじわと出血が続き、内出血が生じることがあります。ひどくなると、血液が溜まってしまう場合もあります。 |
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対処 | 針を刺して溜まった血液を吸引したり、縫合した傷口を一部開けて、血栓状に固まった血液を排出する場合もあります。年に1回か2回ある程度の頻度です。 |
線状瘢痕
要点 | 通常の経過です。アフタケアとして、約1ヶ月間、茶色テープを貼って、傷跡を保護していただきます。 |
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経過 | 傷跡は消えることはございません。 2,3ヶ月すると、体質によりますが、かなりきれいになって白い細い傷跡がわからなくなる方から、ほどほどの状態になる方、赤い肥厚性瘢痕になってくる方といろいろ個人差があります。 |
真皮縫合糸の排出
要点 | 3ヶ月程度で吸収される糸で真皮縫合する場合があります。 数カ月経って、排出されてくる場合は、除去します。 |
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注意 | 最近、吸収過程で赤くなる場合が増加している印象があるため、吸収糸の使用頻度が減っています。 |
皮膚の凹み
要点 | 直径5cm以上の大きなしこりを除去したあとは、少し凹みを生じることがあります。徐々に元に戻ることが多いですが、凹みが残る場合もあります。 |
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対処 | 経過観察になります。 |
盛り上がった傷跡=肥厚性瘢痕
要点 | 傷が治るまでに時間がかかったり、体質や部位(胸部や肩など)によって、傷跡が徐々に赤く盛り上がってくる場合があります。 |
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対処 | ステロイド徐放テープやステロイド局所注射でコントロールしますが、数ヶ月以上と時間がかかります。 |